鼻水やくしゃみ、鼻づまりが続くときは、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診し、原因を確認したうえで治療を受けることが基本です。
一方、すぐに受診できないときなど、市販の鼻炎薬を利用する場面もあるでしょう。
同じ「鼻炎薬」でも、内服薬、点鼻薬、漢方薬では働き方や注意点が異なります。市販薬を購入する場合に確認したいポイントを、分かりやすくご紹介します。
鼻水、くしゃみ、鼻づまりは、花粉やハウスダストによるアレルギー性鼻炎だけでなく、風邪や副鼻腔炎などでも起こります。症状だけで原因を正確に判断することは簡単ではありません。
また、アレルギー性鼻炎であっても、鼻水が特につらい方、鼻づまりが強い方など、症状の現れ方には個人差があります。年齢、持病、服用中の薬などによっても、適した薬は異なります。
鼻炎の症状が続く場合は、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診し、原因を確認することが大切です。医療機関では、症状や体の状態に合わせて、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などから治療方法が検討されます。
市販薬は、すぐに受診できないときや、一時的に症状を和らげたいときの選択肢になります。ただし、市販薬は鼻炎の原因を診断するものではありません。
次のような場合は、市販薬だけで対処せず、医療機関へ相談しましょう。
市販の鼻炎用内服薬には、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状を抑える抗ヒスタミン成分を含むものがあります。製品によっては、鼻づまりを和らげる成分や、鼻水の分泌を抑える成分なども組み合わされています。
市販薬は薬局やドラッグストアなどで購入できるため、すぐに受診できないときにも利用しやすいという利点があります。一方で、薬によっては次のような症状が現れることがあります。
「眠くなりにくい」と表示された薬もありますが、作用の感じ方には個人差があります。また、薬によっては、服用後に自動車の運転や機械の操作をしないよう注意書きが設けられています。購入時と服用前に、必ず「使用上の注意」を確認しましょう。
特に、緑内障、前立腺肥大による排尿困難、心臓病、高血圧などの持病がある方や、ほかの薬を服用している方は、購入前に医師や薬剤師へ相談することが大切です。
| 購入前に確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 最もつらい症状 | 鼻水、くしゃみ、鼻づまりなど、中心となる症状によって薬の選択肢が異なります。 |
| 含まれている成分 | 商品名が違っても、同じ成分が含まれていることがあります。 |
| 眠気に関する表示 | 運転や機械操作のほか、高齢者では転倒などにも注意が必要です。 |
| 持病と服用中の薬 | 使用できない場合や、飲み合わせに注意が必要な場合があります。 |
| 対象年齢と服用量 | 使用できる年齢や1回の服用量、服用回数は製品ごとに異なります。 |
かぜ薬、睡眠改善薬、乗り物酔い薬、アレルギー用薬などにも、鼻炎薬と同じ抗ヒスタミン成分が含まれていることがあります。自己判断で併用せず、医師や薬剤師に確認しましょう。
点鼻薬は鼻の中へ直接使用する薬ですが、含まれる成分によって働きが異なります。価格だけで判断せず、成分と使用目的を確認することが大切です。
● 血管収縮成分を含む点鼻薬
鼻粘膜の血管を収縮させ、腫れを抑えることで、鼻づまりを一時的に和らげます。比較的早く効果を感じることがありますが、使いすぎると、かえって鼻づまりが悪化する場合があります。
使用回数や使用期間を自己判断で増やさず、添付文書に記載された用法・用量を守りましょう。
● ステロイド成分を含む点鼻薬
鼻粘膜のアレルギー性の炎症を抑え、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどを和らげる薬です。血管収縮成分を含む点鼻薬とは、働き方が異なります。
「ステロイド」という名称だけで過度に心配するのではなく、説明書を読み、対象年齢、使用回数、使用期間を守って使用することが大切です。効果が不十分な場合や、鼻血、刺激感などが続く場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
| 点鼻薬の種類 | 主な働き | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 血管収縮成分を含むもの | 鼻粘膜の腫れを抑え、鼻づまりを一時的に和らげる | 使いすぎると、かえって鼻づまりが悪化する場合がある |
| ステロイド成分を含むもの | 鼻粘膜のアレルギー性の炎症を抑える | 用法・用量、対象年齢、使用期間を確認する |
市販されている点鼻薬には、複数の成分を組み合わせた製品もあります。箱や説明書に記載された成分を確認し、不明な場合は薬剤師へ相談しましょう。
鼻炎に使用される漢方薬のひとつに、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)があります。一般には、体力が中等度またはやや虚弱で、透明で水のような鼻水などがみられる場合に用いられます。
ただし、小青竜湯がすべての鼻炎に合うわけではありません。漢方薬も医薬品であり、体質や症状に合わない場合があるほか、ほかの薬との飲み合わせや副作用にも注意が必要です。
「漢方薬だから安全」「長期間飲み続けても問題ない」とは限りません。漢方薬を複数使用すると、同じ生薬が重複することもあります。
高齢の方、持病がある方、治療中の方、ほかの薬や漢方薬を服用している方は、購入前に医師や薬剤師へ相談しましょう。相談する際は、現在服用している薬が分かるよう、お薬手帳を持参するとよいでしょう。
参考:PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索」
市販薬を使用するときは、まず添付文書を読み、用法・用量を守りましょう。効果が弱いと感じても、自己判断で量や回数を増やしてはいけません。
薬を使用した際は、症状がどの程度改善したか、眠気などの気になる変化がなかったかを確認しておきましょう。その情報を医師や薬剤師に伝えることで、次に薬を選ぶ際の参考になります。
以前使用して問題がなかった薬でも、年齢、体調、持病、服用中の薬が変われば、同じように使用できるとは限りません。自己判断で薬を次々と試すのではなく、薬剤師に「どの症状を抑えたいか」「どのような薬を飲んでいるか」を伝え、ご自身に合った薬を選びましょう。
市販の鼻炎薬を使うときの3つのポイント
市販薬は、正しく選び、正しく使用することが大切です。症状が続く場合や、どの薬を選べばよいか迷う場合は、無理に自分だけで判断せず、医療機関や薬局へ相談しましょう。
日医研では、これからも高齢者の皆さまが健やかで充実した毎日を過ごすために役立つ情報を、分かりやすくお伝えしてまいります。